北海道では5月になるとわらび(蕨)が少しずつでてきます。
わらびは、日本をはじめとする東アジアや北アメリカなどで広く見られるシダ植物の一種です。
春の山菜として親しまれており、その若芽(わらびの新芽)は食用として広く利用されています。
今回はわらびについて家庭でできるアク抜き方法と時短(たったの15分)と長期保存方法(1年以上保存可)をご紹介させていただきます。
わらびの魅力と旬の季節
わらびは、苦味とともに、山菜特有の爽やかな風味を持っています。
アク抜きしたわらびは、シャキシャキとした食感が特徴です。
この食感が料理にアクセントを加え、様々な料理に取り入れやすくなっています。
アク抜きしたわらびは、和え物、炒め物、煮物、天ぷら、炊き込みご飯など、様々な料理に使われます。
調理法によって異なる食感や風味を楽しむことができ、食卓に彩りを添えます。
わらびは、食物繊維、ビタミンB群、葉酸、ビタミンEなどの栄養素を豊富に含んでいます。
これらの栄養素は、健康維持や美容にも役立ちます。
わらびは春の訪れを告げる山菜として、季節感を楽しむことができます。
新鮮なわらびを使った料理は、季節を感じさせる一品として食卓を豊かにします。
わらびの旬の季節は、春から初夏にかけてです。具体的には、4月から6月にかけてが最も美味しい時期とされています。
春(4月〜6月)の時期、山野で若芽が芽吹き、収穫が最盛期を迎えます。
わらびは新鮮で柔らかく、この時期に収穫されたものは特に風味が良いとされています。
春の山菜として、新芽が顔を出す姿は、春の訪れを感じさせてくれます。
アク抜きの重要性
アクとは何か?
そもそもわらびの「アク」とは、植物に自然に含まれる成分で、特に苦味や渋味をもたらす物質を指します。
わらびの「アク」の成分には「プタキロサイド」「タンニン」があります。
プタキロサイド(Ptaquiloside)とは
これはシダ植物に特有の化合物であり、潜在的に有害な成分です。
プタキロサイドは発がん性を持つことが知られており、長期間大量に摂取すると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
タンニンとは
タンニンは植物に含まれるポリフェノールの一種で、渋味や苦味の原因となります。
タンニンは収斂作用(しゅうれんさよう)を持ち、口の中が渋く感じる原因です。
アク抜きの必要性と効果
わらびのアク抜きは、食べる際に欠かせない重要な工程です。そのままでは苦味やえぐみが強く、食べにくいです。
アク抜きを行うことで、この苦味やえぐみを取り除き、わらび本来の美味しさを引き出すことができます。
アク抜きされたわらびは、他の食材や調味料と調和しやすくなります。
アクが残っていると、他の食材に苦味が移ることがあり、料理全体の味に悪影響を及ぼします。
基本のアク抜き方法
伝統的なアク抜きの手順
準備するもの
生ワラビ:400g
木灰(または重曹)50g程度
わらびが入る容器
沸騰したお湯
水
手順
(1)容器にわらびを並べ、まんべんなく木灰をかけます。
(2)(1)の容器にわらびがつかる程度熱湯を入れて一晩(12時間程)おいておきます。
(3)水が黒くなりアクがでてきるので、水を変えてまたしばらくおいておきます。
(4)(3)を繰り返し水がきれいになったらアクが抜けています。
重曹を使ったアク抜き方法
準備するもの
生ワラビ:400g
食用の重曹(炭酸水素ナトリウム):大さじ1程度
わらびが入る容器
沸騰したお湯
重し(皿や蓋など)
水
手順
(1)容器にわらびを並べ、まんべんなく重曹をかけます。
(2)(1)の容器にわらびがつかる程度熱湯を入れて一晩(8時間以上)おいておきます。
(3)水が黒くなりアクがでてきるので、水を変えてまたしばらくおいておきます。
(4)(3)を繰り返し水がきれいになったらアクが抜けています。
※重曹の量が少なすぎるとアクが十分に抜けない場合があるため、適量を守ることが大切です。
多すぎるとわらびが柔らかくなりすぎることがあります。
時短 小麦と塩を使ったアク抜き方法
準備するもの
生ワラビ:200g
小麦粉 大さじ6
塩 小さじ2
水
手順
(1)わらびは根元の硬い部分を切り落とします。
(2)鍋に水を入れて小麦粉、塩を加え泡だて器で良くかき混ぜます。
(3)(2)を中火にかけ沸騰したら、1を入れて弱火して4分煮込んで火を止めます。
(4)(3)の茹でたわらびを冷水に取り、10分間浸せばあく抜き完了。ザルに上げて水切りをします。
長期保存 塩を使ったアク抜き方法(大量わらびの場合)
準備するもの
生ワラビ:大量
塩 大量(1kg~2kg程度)
樽
フキの葉(又は重石の下に引くビニール袋等)
重石
手順
(1)樽にわらびを敷きます。
(2)塩をかけてまたその上からわらびをのせます。
(3)(1)/(2)を繰り返してミルフィーユのように重ねていきます。
(4)フキの葉を一番上に置き重石を置きます。
24時間程度経過するとアクが出てきてます。
※調理する際は半日~1日水につけて塩抜き(水を数回入れ替える)をする必要があります。
アク抜き後のわらびの保存方法
アク抜き後のわらびは、適切に保存することで、数日から1年以上にわたって美味しく食べることができます。
水に浸けて冷蔵保存
アク抜き後のわらびを清潔な容器に入れ、わらびが完全に浸るまで水を注ぎます。
容器の蓋をしっかり閉めて冷蔵庫に入れます。
毎日水を取り替えることで、わらびの鮮度を保つことができます。
この方法で約1週間程度保存可能です。
冷凍保存
アク抜き後のわらびを水でよく洗い、食べやすい長さに切ります。
キッチンペーパーなどで軽く水気を拭き取ります。
わらびをフリーザーバッグや密閉容器に入れ、空気をしっかり抜いて密封します。
冷凍庫で約1ヶ月保存できます。使用する際に冷蔵庫で自然解凍するか、熱湯にさっとくぐらせて解凍します。
塩漬け長期保存
上記の「長期保存 塩を使ったアク抜き方法(大量わらびの場合)」で長期保存が可能です。
たくさん収穫した場合は樽につけて長期で保存することがおすすめです。
使う時は塩抜きに半日程度かかります。
まとめ
重曹を使ったわらびのアク抜きは、簡単かつ効果的な方法です。
また、時短で小麦粉と塩を使ったアク抜き方法をご紹介させていただきました。
正しくアク抜きをすることで、わらびの苦味や有害成分を取り除くことができます。
正しい手順とポイントを守って、美味しいわらび料理を家庭で楽しんでください。